#179 ゾフルーザ
2018年3月に販売開始された夢(?!)の抗インフルエンザ薬ゾフルーザについての評価及び今後の使用法について、今回まとめてみました。インフルエンザウイルスは鼻やノドの粘膜の細胞に入り込んで感染させた後、外に出て周りの細胞を感染させながら、24時間で100万倍に増えると言われています。今までの抗インフルエンザ治療薬は細胞内で増えたウイルスが細胞から外に出て、周りの細胞に感染が広がって行くことを防ぐタイプだったのですが、ゾフルーザは細胞内のウイルスそのものを増殖させない、1回飲むとウイルスを1/10000にするという夢のような薬のはずだったのですが・・・。今回の評価で問題となったのは、ゾフルーザが効きにくいタイプのインフルエンザが予想より多くみられたという点です。特に成人に比べて、小児にその傾向が強くみられました。このまま多くの人が使い続けると(売り上げNO.1)、ゾフルーザが効かないタイプのインフルエンザが蔓延することが危惧されます。日本で流行するインフルエンザは今までの抗インフルエンザ薬で十分効果があり、薬の効きにくいタイプのインフルエンザの頻度は高くないので、ゾフルーザは今までの治療で効果がない時に追加で投与したり、今後新型のインフルエンザの流行した時にとって置きましょうという方針です。使用してはいけないということではなく、中学校以上の児に医師の判断で使用してくださいということです。ゾフルーザは今までの抗インフルエンザ薬とは働く場所が違うので、治療の選択肢が増え、インフルエンザ治療の心強い薬であることには疑いの余地はありません。
2019.12.01